なぜ経営者はコーチをつけるのか

アメリカでは大企業の6~7割のCEOにコーチが付いていると言われています。過去には伝説の名経営者GEのジャック・ウエルチが28歳の女性のコーチを付けていました。日本での統計はありませんが、現在上場企業の1~2割ぐらいの経営者にはコーチが付いていると推定されます。経営者はなぜコーチをつけるのでしょうか。経営のすべてがわかっているようなウエルチがなぜ若いコーチを付けたのでしょうか。

それは主に2つの理由があります。

一つは自分を「止まって観る」ことです。経営者は忙しい。頭の中には様々な課題やアイデアが渦巻いていますが、日常は部下からの報告、それに対する判断と指示、そして会議などで埋まっています。夜はほぼ連日にわたり会合や懇談などに費やされ、自分が「どうしたいのか」と、立ち止まって振り返る機会や時間をとれないのが実情です。それをコーチをつけることで、流れをいったん止めて自分を内省し考える機会を作ろうというのが理由です。

二つ目は「多様な視点の獲得」です。コーチの質問やフィードバックによって、経営者は内省を促され、自らの考えていることへの新しい視点や気づきを獲得することの機会として利用することです。

診断士はコーチングの考え方と技能を習得することによって、経営者の思いを引き出し、経営者の「どうしたいのか」に沿ったコンサルティングが可能になります。いまや診断士にとってコーチングは必須のスキルなのです。