大企業出身診断士の弱点

私の敬愛する中小企業診断士の先輩左近祥夫先生と話していた時に、これまでの診断士育成指導を振り返って、先生は「大企業出身者で、中小企業に対してきちんと経営指導ができた人は一人もいませんでした」と言われました。

「えっ!?」と思ったのですが、日頃の先生のお話を伺う中で思い当たることがありました。大企業で働くということは、全体の一部の業務を担当し、目の前の仕事に集中すること、社内で異動があったとしても経営の全般を把握できることがないため、会社の全体像が見えにくいという制約があります。

そういう方が診断士になったときに、診断士試験を通して勉強をしてきたとしても、自らの大企業での経験に囚われてしまうため、診断先の中小企業に適した「明日からできる施策」を提案できないのだと思います。それはとりもなおさず中小企業のオーナーや社長の気持ちがわからない、ということにつながります。

それを補う技能がコーチングです。日頃から相手の立場で観て、考えて、そのうえで「聴く」ということを身に付けることで、経営者に対するヒアリング、企業診断は格段に違うものになっていきます。