経営者の気持ちに寄り添う
理論政策更新研修での出来事。ある受講生が講師に「私はいま中小企業のオーナー社長にコンサルティングの提案をしています。この提案が最善だと思っているのですが、社長はどうしても受け入れてくれないのです。どうしたらいいのでしょうか」という質問をしました。
すると受講生の中で、公的機関で中小企業の経営支援に当たられている方が「それは社長が根負けするまで提案し続けるしかないですね。それしかないです」と発言されました。
私はとても強い違和感を持ちましたので、手を挙げて発言をしました。「私はコンサルティングのときには、まずコーチングに基づいて質問していきます。今回のケースでは、私であれば社長に対して『社長は何歳まで社長を続けられるおつもりですか』『それまでにこれだけはやっておきたい、ということはありますか』とお聞きしますね」と言いました。「まず社長の気持ちに寄り添い、思いを聴き取らなければ、その先のコンサルティングは何もうまくいかない、と思っているからです」とも付け加えました。
研修会場はシーンとなってしまいました。診断士にはコンサルティングの場面で、コーチングの知識と技能が必須だと改めて思った時間でした。